さようならのパレード あとがき

 

「私が一番泣いたのは、解散を決めた『あの日』です」

 

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 3次元のWUGちゃんが解散しているのに2次元のWUGが解散していないことが、ずっと引っかかっています。こうやって実際に2次元のWUGの最後を拙いながらに想像し、認めてみると、改めて、3次元のWUGちゃんの解散に向かうまでの軌跡と最後の舞台は、あまりに物語として出来過ぎていて、故に2次元に落とし込むことに何もストレスがありませんでした。

 いわゆるWUG組曲をアニメの世界で創るのはそれぞれ誰なのか?色々な議論があり盛り上がりそうなテーマだと思いますが、以前オタク早口プレゼン(詳細は2日前の記事をご参照ください)関連で「さようならのパレードを創ったのは松田」という解釈ツイートを見たその瞬間に今回書いた文章が、ほぼ全部脳内で完成しました。松田が曲を創るなら、絶対それを促すのは早坂だろ。それをやるタイミングがあるとしたらそれは曲を松田が早坂に依頼した返す刀だろ。松田は早坂さんの言葉とWUGちゃんとの想い出を反芻しながら、やがて曲を創るに至るなって感じで。それくらい、自分の中であまりに「さようならのパレードを創ったのは松田」説はハマりました。WUGちゃんに対しての「さようならはいやだよ」という言葉が、結成からずっと、どんな時でも一番近くで見守り続けてきた松田の紡いだ言葉だと思うとグッときますよね。ちなみにタイトルは松田の子守歌ならぬ「松田のパレード」とするのもあったのですが、そうするとタイトルからネタバレしちゃうなあと思ってやめました。謎めいていたい。最初は7人に曲披露の後、リハ行くぞ、がんばっぺ、Wake Up,Girls!ってオチだったのですが、この物語は7人のものではないな、ということで加筆しました。あとはせっかくだから公式要素を散りばめたいなあと思い、大好きな完全神OPであるところのTVアニメWake Up,Girls!の映像から伏線回収したり、なぜBlu-rayに収録しなかったSSA前説のシナリオを組み込んだり(こちらはひこさんのTwitterイラストを参考にしました、貴重な資料をいつもありがとうございます。)、七人のアイドルのシーンそのまま引用したりなんだり。実際に自分でWUGの二次創作をしてみようと思うと、やっぱり色々気になってしまって少しでも「本物」になりたくて、アニメや小説版を何度も見返したり、実際に仙台までの新幹線に乗って事務所まで歩いてみたり、心の中の監督や待田先生と対話してみたり。生産側に回ると消費者側より圧倒的にインプットというか、WUGについて考える時間が増えるもんなんだなあと実感しました。

 前半は小説調で書いたのですが、後半、7人が出てくるところではあえて、舞台の台本のようにセリフのみ、どのセリフを誰が言ったのか直接明示しないようにしました。どうしても7人への没頭が自分の中で至らず、キャラが記号化してしまうのが本当に耐えられなかったので、あくまで自然な会話の中で、読み手が浮かんだ顔を当ててくれたらなあと思います。

 先述しましたが、WUGの解散に向かうまでの軌跡は本当に2次元に落とし込みやすいなあと思う一方で、どうしても結論に至らず目をそらし続けている文脈があって、それは「なぜWake Up,Girls!は解散したのか?」です。そもそも彼女たちはなぜ最後のライブをしているのか?解散理由は何か?当然落とし込めない、なぜなら知らないから。今なお。

 3次元の解散理由を知ったから2次元にはい落とし込めます、とはいかないだろうし、知らない方がいいことも多いでしょうが、最後の手紙、みにゃみから意味深に投げられた石が創った水の輪が、今も自分の心の中でざわざわと波打っています。

 なんでWake Up,Girls!は解散したんでしょう。僕らが気付けないから、彼女たちの心の悲鳴が、言葉の結晶と化してしまうまでに至ったのかと思うと、胸が苦しくなります。

 

 これも繰り返しになりますが、創作は消費の何十倍も頭の中がWUGでいっぱいになりますね。それは苦しさも伴いますが、身体がWUGで満たされて本当に幸せだったので、また何か書きたいなあと思っています。WUGちゃんがこれまで歌ってきた沢山の楽曲を、WUGちゃんはほとんど歌ったことがないままでいます。僕らのフロンティア、スキノスキル、One In A Billion etc. 。これらの楽曲が歌われるに至るまで、どんな物語があったのか、考えるだけでワクワクしてきます。

 これからの人生の楽しみとして、とっておこうと思います。