WUGの新章

 今年もアドベントカレンダーの季節ですね、毎日個性織りなす数々の投稿を楽しませて頂いています、助手のコ口です。
 なんとなく、鷲崎さんの言葉を借りると「盗まれてしまったような一年間」に、さらに丸々WUGちゃんがいない最初の一年ということもあってか、みんな色々なフラストレーションが爆発したような想いの詰まった文章たちに、毎日それこそアドベントカレンダーを開ける子どものようなワクワク感で記事を読ませて頂いております。僕はやっぱりオタクの書いた熱い文章や、一癖も二癖もある斜に構えた文章が好きみたいです。皆さん、まだWUGを好きでいてくれてありがとうございます。

 そんなわけで、この文章は「Wake Up, Girls! Advent Calendar 2020」の19日目の投稿記事です。
adventar.org

 2020年にもなってこんなにも沢山の人が平成のアニメ・声優ユニットに対して熱量をもってくれて、更にはその人たちと文章を繋いでいく企画に参加できることが、凄く嬉しいしありがたいです。いつも感謝。

 今日はSSAの想い出ポエムシリーズ、これまで入場待機列編、Polarisのまゆしぃソロ編、お見送り会編と書いてきたので、今回はクリスマスの思い出もあるこの曲について書きたくなったので書きます。

 3月8日の朝、夜行バスから降りた時から、3月9日、南浦和駅のホームでかやたんのMCについて呟いたらワグナーが同時に同じ内容呟いてて恐怖に震えた瞬間まで、大切なアルバムを捲るように、今でも何度も思い返すのですが、この機会にその記憶のひとかけらをまた書き残したいと思います。






 そして物語は次のページへ。






 Beyond the Bottomのアニメ映像が流れる中で、「え、もうBtBやるの?!」と過ったのも束の間、その言葉がモニターに映し出された。
 「新章?ってことは7Sen…」と思った矢先。

 流れ出したイントロ、照らすライトに、全てを悟る。
 そうなんだよ、「この曲」こそがWUGちゃんの新章なんだよ。解釈の一致に嬉しくなる。ブレードを瞬時に白に切り替える。この曲は絶対に白だ。
 協会広場であんなに近くで観たのが信じられないくらい遠く感じる。ステージのWUGちゃんは200レベルの端っこでは豆粒のようで、七人の区別もつかない。少ないインプット情報の隙間を飲み込むように、思考が一気に加速する。



 2017年。何度も何度も思い出す、WUGと出逢って始まったもう一つの人生。ラブライブ!にハマったのも、Five Starsにメール投稿していたのも、灼熱の卓球娘を観ていたのも、暴れん坊ラジオで笑っていたのも、全部全部WUGと出会うために必要な時間だったと思えるくらい。

 また新しいアニメが始まる。WUGちゃんたちの次の物語を見ることができる。
 三次WUGちゃんが外の世界で実力とファンを獲得し、また集まる。
 もっと多くの人に、絶対に届けるんだ!
 思えば、Wake Up,Girls!というコンテンツに対して、それが最初に抱いた当事者意識だった。その物語にタイアップしたような曲が、このOne In A Billionだ。この曲は圧倒的に物語における文脈だった。フロンティアを、茨の道を切り開いていったWUGちゃんとワグナーが、最初に報われたご褒美のような曲だった。


 余談ですが、この文脈を、僕は是非ともアニメのWUGちゃんにも輸入してほしいです。レコード会社的に難しいかもしれませんが。
グループでのアイドル活動が停滞期を迎えた時に、人気アーティストのSNSの投稿をきっかけに少しずつし潮目が変わり始める、みたいな。この、空想よりよっぽど物語チックな現実を、二次元のWUGちゃんの物語でいつかみたいです。


 七人のソロリレー。May'nちゃんには敵わんなあと感じていた4thツアーの日々が嘘みたいに、遠慮も引け目も感じさせない7色の個性が出た開幕。
 扉からワクワクが弾け飛ぶように流れるイントロ。みんなが一斉に跳び始める。この曲で、かかとを太ももにつけるくらいの勢いで5歳児みたいに本気で跳ぶ、それが堪らなく楽しい。
 カッコよくて可愛くて心底楽しい。
 MVも本当に好きで何度も何度も観ました。キャラクターに縛られない七人の魅力が一番引き出されるようなヘアアレンジ。この頃はまゆしぃのことカッコイイと思っていたんだよなあ。

 サビの掛け合い。「ドキドキ」「ペコペコ」あたりで「間違えたらどうしよう…」という不安から小さくなりがちなオタクのコールが、「One In A Billion!」っで一斉に揃い、ブレードを掲げる瞬間が好き。
 「きっと始まる」でマイクを両手で握りしめて駆けだす可愛い振付、七人の表情、堪らなく好きで何度も振りコピして、でもステージ上の演者と目が合った時はちょっと恥ずかしかったなあ。
 2番サビ「スパイス」コールに全身全霊をかけていた阪神ファンの友人の狂気を思い出した。

 「昨日まで知らない奇跡に出会える」

 ハートラインにしろ、Wake Up,May'n!の曲は出逢いについて歌われることが多い。三次元のWUGちゃんたちが、未だ多くの人に愛され応援されているのは、出会った誰しもが彼女たちの真摯さ・一生懸命さから何かを受け取ったからだと思う。彼女たちはそうやって多くの人の後押しで「新章」を獲得していった。この曲はまさにその物語の象徴と言える。

 アウトロが流れて、再び跳び始めた1万3千人。心の中のワンビリ警察が観客を必死に制止する。「待て待て早まるな。この曲は意外とアウトロが長い。そんなペースで跳んだら素人は最後までもたんぞ。それに、ここからだぞ、ここからが、この曲で一番の聞きどころだ。黙って聞くんだ、山下七海さんの声を!!!」僕は耳を研ぎ澄ます。

 「ワグナーさんへ!私たちと出逢ってくれてありがとう!そしてMay'nちゃん!私たちと出逢ってくれて、ありがとう!!!」

 あぁぁぁ!膝から崩れ落ちながら白のブレードを握りしめる。May'nちゃん、息してるか!?


 この曲が一番好きだと思った。
 7 Girls Warが流れた時も、運命の女神が流れた時も、Polarisが流れた時も、その曲が流れ始めた時、全部、この曲が一番好きだと思った。
 どの曲も、自分の中でWUGと過ごした沢山の時間が育んだ、大切な曲だ。

 音楽が記憶を刺激し、夢のような現実と想い出たちが思考を乱し、至上のエンターテイメントに酔いしれていた。
 楽しかった。
 本当に楽しかった。
 誰よりも高く跳んだ。
 この曲を二度と観ることが叶わない哀しさなんて、微塵もなかった。