2025年下期の振り返り

 高校生の時、部活の同期の何人かとはじめてカラオケに行った日のことを、今でもよく覚えている。その先の人生で、高校・大学の部活の同期と天文学的数回カラオケに行った事実から、それが自分にとってどんな体験だったのか推し量ることは難くない。その日、僕は、僕たちは、カラオケ屋を出た後、その日を終わらせることを受け入れられず、目的もなく高校の最寄り駅まで電車移動し、駅近のマクドナルドで全く意味もない時間をただただ過ごした。最高だったカラオケの余韻は盆地の夜の外気のようにすっかり冷めきって、誰もが心の中で「あのまま帰ってればよかったなあ」なんて思いながら解散した。

 高校生の日々は、そんなことの連続だった気がする。自立と庇護の狭間で、一人の人間が手にすることができる本当の自由の輝きに目が奪われ、目がくらみ、追いかけ、見失い、そんな日々。

 2025年8月、高校の学年規模での同窓会が成人式ぶりに開催された。私はそこに行けなかったわけで、その背景にあるものを一切書く気はないのだが、しかし、公式に参加できない時こそ非公式に萌えるのが悲しき同人畑の性でして、そんなこんなで2025年下半期は久しく更新されていないLINEのトーク履歴を開き、考えて書いて躓いて、消したり元通りにしたりで、いたずらにスマートフォンの充電を減らしながら、隙を狙って高校の同級生個人個人に連絡を取り、これが俺の同窓会や!を試みた半年だったわけである。

 友人Fは高校2年の時のクラスメイトだった。2年の時のクラス替えで、びっくりするくらい1年の時親しくしていた顔ぶれが揃ったクラスだった僕は、初日から心地の良いその輪の中にいたわけだが、Fはそのうちの友人の一人と同じ部活動に所属していた。学生時代の部活動の選択は、往々にして人間性の代名詞となり構内のヒエラルキーの所属を定めるため、必然Fもまるで最初からその中にいたかのように、ごく自然とその輪の一員となった。

 今でもその日、赤外線通信でメアド交換をした後、最初に彼から送られたメールのことをよく覚えている。鮮明に覚えている。

 私が卒業した中学校は、控えめに言ってもスラムのような中学で、暴力・窃盗・器物破損・ボヤ騒ぎが横行する愉快な環境だったので、高校入学時、まるで生まれたままの姿でいるような周囲の同級生の雰囲気との格差に頭がおかしくなりそうだったのだが、入学して一年経ち、そんな空気にもすっかり擬態できると驕っていた自信を粉々に打ち砕くような、あまりに無垢であまりに眩しい文面だった。

 晩産の一人っ子として親戚一同から可愛がれ大切に育てられたであろうFと過ごした時間の思い出は、この私が、全ての瞬間において主役をFに据え置いておかなくてはという使命感に駆られるほどに彼中心の時間だった。おおよそ私だったら行かないような場所に行き、しないようなことをして、言動の全てを彼用に取り繕っていたように思う。それは、さながら下心をもって異性に接する時のそれそのものだったが、異性に対するそれと異なり、そのプレイにはストレスがなく、私にとっては程よいデトックスになっていた。

 そんなFと久方ぶりに会った。恐らく大学院合格祝いに沖縄に行って以来か。いや、修士卒業前の夏休みに幕張の花火大会に行ったような気もする。いずれにせよ約10年ぶりになる。

 あまり時間も取れないので、夕飯のみ、モアーズのとらじを予約した。別に叙々苑でも良かったが、大学生の頃、社会科見学を兼ねてFと行った時の場違い感、肩身の狭さから、今の自分の身の丈に、ほんの少し贅沢を加えた最適解を狙った結果である。

 待ち合わせ時間の1時間前に到着。せっかくなので一人でカラオケにでも行こうかと思うも、夏休み横浜駅西口のカラオケ店は待機客が店内に収まらないほどの盛況っぷり。横浜駅の暑さ臭さ人の多さ治安の悪さに辟易しながら、個室DVD鑑賞店で言の葉の庭を観て過ごした。

 待ち合わせ時間の近くになったので、階下の東急ハンズで時間を潰していると、「とらじの上の階のソファで待っている」というLINEが来る。彼は上階私は下階と独り言ち、エスカレーターを上り落ち合う。苦労をしていない人は年を取らないというのは本当なのだろうか、ラケットバッグを背負わせ学ランを着せたら部活帰りの高校生だと疑われぬような彼の変わらぬ姿に、特に何も思わず店内に入る。

 やたらと美味しいグレープフルーツサワーとカクテキに感動したり、一年近くぶりのアルコールに吐き気を催したりしつつ、2時間程度で店を出る。

 そのまま横浜駅の中央改札まで並んで歩き、「またね」と声をかけ彼に背を向けた時、今の気持ちが、はじめて部活の同期とカラオケに行った日のそれと同じ形をしていることに気付き、足早に改札をくぐりホームへの階段を上った。

 電車を待ちながら、そういえば相鉄線の改札は中央改札から離れた場所だったことを思い出し、よく彼と二俣川で別れた高校生の日々を偲びつつ、ビルの隙間の夜空を探した。

雫の冠

 

 

『まゆ、Wake Up,Girls!らしさって何だと思う?』

 

 

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 「水の輪が広がってく わたしの心のなか」

 弦の音色が響く。二人ずつ、花道をゆっくり歩みながら丁寧に声を重ねて繋いでいく。

 会場全体を見渡す。広いなあ。照らしてくれる光よりも、暗闇に視線が吸い寄せられる。わたしたちの力じゃ、ここを満天の星空にはできなかったな。

 今年で4回目となる冬の幕張。恒例、だけど当り前じゃないこの景色。 

 ふと、この1年間の出来事が頭を巡りだす。これが走馬灯ってやつ?まさかね。

 新章という光を目指して、信じて、前だけを見て、ただ只管にみんなと駆け抜けた2017年が、蘇る。

 

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 「アイドル、やらせてください!」

 アフレコブースのマイクの前、震える手で台本を持ちながら発したセリフ。これがわたしのはじまり。舞台「青葉の記録」により、わたしたちの2017年は原点回帰から始まった。舞台は初挑戦となるメンバーもいたけど、全員が自分のキャラクターともう一度向き合って、今しかできない七人のアイドルを届けることができた。わたしたちの名前が初めてエンドロールに流れた劇場版が公開されてから約3年。あれから変わったところも、変わらなかったところもあったけど、やっぱりわたしたちは7人でWake Up,Girls!なんだって改めて実感させてもらえたな。声だけじゃなくて全身で島田真夢ちゃんを演じることで、あの頃は見えなかったことに気付けたり、より深く彼女に向き合うことができた気がする。これが、新章に向けてわたしたちの最初の助走になったんだ。

 

 「憧れの方へ」

 声優ユニットとしてWUGが切り拓いていった新しい挑戦、アニメタイアップの道。WUGが作品を離れてアーティストとして他のアニメ作品の曲を歌うことに、最初は凄く不安だった。それでも変わらずに受け入れてくれたワグナーさんに背中を押され、今はこれも『わたしたちらしさ』なんだと思えている。

 今年、美海からバトンを受け取ったのは吉能。日替わりのプリンセスです~なんて歌っていたWUGちゃん、実際にみんながそれぞれ自分の強みを見つけて活かして、毎日どこかで輝いて、その中でワグナーさんの輪も少しずつ広がっていくのを実感できたんだ。

 そんな風に繋いでいったタイアップのバトン、最後に受け取ったのは、まさかまさかのMay’nちゃん!凄いよね!あのMay’nさんと、MVでお揃いの衣装で一緒に歌って踊って。中学生の頃のわたし、見てる!?奇跡レベルの出会いに沢山恵まれた一年を象徴するビッグサプライズでした。

 そういえば、Wake Up, May’n!としてアニメロサマーライブでもステージに立つことができました。

 そう、アニサマね。WUGとしては2年ぶりに返ってこられたSSA。セトリをどうするか、みんなとの話し合いの結果、最後に歌ったBeyond the Bottom。この曲しかないんですよ。わたしたちの切り札。今しかない、その一心で歌ったんだ。

 もうWUGとして、この聖地に立つ夢は叶わないかもしれないけど、だからこそ、アニメWake Up,Girls!が紡ぐ物語を、想いを、この場所に遺すことができて、本当によかった。この一瞬に悔いなし!

 

 「むすんで ほどいて 途切れないように」

 そしていよいよ4thライブツアー!この1年間のわたしたちの集大成。今回、初めて私たちメンバーが主体となって、セトリから衣装から考えて提案することに決めたんだけど。これが本当に大変で。毎日のようにスタッフさんや愛理たちと会議室に籠もっては話し合って。そんな中、ツアーのテーマを考えたときに、TUNAGOという曲が挙がって。

 アニメがない期間もユニットWake Up,Girls!としてワグナーさんを繋ぎとめようという想いで活動を続けた2年間。コンテンツの原点、震災復興を忘れないために東北とワグナーさんを繋いだチャリティーイベントやタイアップ。WUGの今までを全部抱きしめながら、このツアーでアニメ新章に繋ごう!

 こうしてツアーへの想いが固まって、私たちの一番熱い夏が走り始めたんだ!

 大阪、仙台、埼玉、福岡、沖縄に広島。そして東京。

 

 『Wake Up,Girls!らしさって何だと思う?』

 

 アニメから離れて一人になっとき、何度もその問いかけが頭をよぎり、時に応えられず迷って不安になって苛立ったりもした。

 でもみんなと駆け抜けたこの夏のツアー、千秋楽のあの時に、わたしは自信をもってこう言えたんだ。

 

「これがWake Up,Girls!だ!」

 

って。

みんなのおかげだよ。

ありがとう。

 

 ー そして、ツアーの熱が冷めやらぬ10月、沢山の人たちの期待や不安のなか、いよいよアニメ新章が始まった ー

 

 

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「きみから受けとった言葉 こたえられずに通り過ぎた」

 

『WUGはWUGである』

 あの日、確かに答えたその問いかけに、今、自信をもって応えられない自分がいる。

 会場の温かい光に照らされながら、ここでこの景色をあと何回見られるだろうかと思ったら、ふいに視界が滲んできた。決断の時は、刻一刻と迫っている。

 WUGは来年で5周年を迎える。アニメタイアップ、東北ろっけんツアー、5周年ライブなど、年度内の予定はすでに決まっているが、その先はどうなるだろうか。新章が終わる今、私たちはこれからどこに向かって進めばいいんだろう。何を信じていけばいいんだろう。

 無数の声優ユニットが、生まれては消え、忘れ去られていく。ここに私たちが立っていたことを、いったいどれだけの人が覚えていてくれるのだろうか。

 

 忘れないで

 ここにWUGがいたことを

 

 頬を伝って落ちたひと雫が、ステージに打たれ一瞬の冠をつくる。せめてこの小さな輝きが、誰にも気付かれないまま消えていく光が、どうか、あなたに、わたしたちに、贈られますように。

海賊とよばれた男 感想

 Wake Up, Girls!という物語を再編する。

 これが私の人生の目標であり、本懐である。

 WUGが歩んできた軌跡を数十年後に辿った時に、まるで自分が遺した文章が全て真実であったかのように、歴史を上書きし伝説として刻む。そう意気込み、毎年年末恒例の何か認めるイベントで文章を書いていて、最近、限界を感じていた。自分は手癖で感想と体験の羅列を書くことはできても、フィクションの中で説得力のある登場人物と、綿密な描写、面白い小説に不可欠なそれらを描く技術がない。痛感した。何かを変えなくては。

 そこで今年は沢山インプットしようと思った。受動的インプットではなく能動的インプット。本懐という到達地点から逆算し、既存文章から貰えるものを貰う期間。

 さてまず何を読むかと考えた時、歴史をまるで自分の目で見てきたかのように描き、主人公をあまりに魅力的にすることに定評がある作家と言えばと浮かんだのは司馬遼太郎百田尚樹だった。

 読書に避ける時間が限られている今、司馬史観にどっぷり浸っている余裕はないと判断し、選ばれたのは百田尚樹。検索して永遠のゼロ(既読)の次にレコメンドされたのを読むことにした。前情報は無し。この本から事実を魅力的なフィクションに転換する技法を一つでも盗もう、ついでに語彙も増やそう。この目的意識を念頭に置いて読み進めることを決めた。

 それが今回読んだ海賊とよばれた男である。

 裏テーマをもって読み進めることを決めたが、しかし流石というかあまりに面白く、息つく間もない展開と魅力溢れる主人公に魅せられて、本来の目的を忘れ、普通に受動的に楽しんでしまっている自分がいた。恐ろしい本。

 単純な勉強のために知らない単語や表現に出会ったらTwitterの下書きにメモするというのをやっていたのだが、その単語の羅列だけでこの小説と特定できそうだったのは面白かった。一つ前に推し燃ゆを読んでいた時に思っていたのだが、平易な言葉や表現は、必ずしも表現の自由度を制約するものでもないらしい。改めて、小説における語彙で大切なのは世界観への説得力だなと感じた。

 メモのコピペだが襟度、僥倖、焦眉、馘首、金科玉条、喫む、至誠天に通じる、干天の慈雨、蛇蝎、斟酌、雌伏、進取の気性、長じて、俊秀、遇する、油井、高邁、雄飛、金城湯池、凭れる、股肱、畢竟欣喜雀躍、澎湃、旗幟、傭船、倦み疲れる、戴冠式、紀文、俯仰天地に、芳情、意気軒昂、禍福は糾える縄の如し、裂帛、遥拝

 主人公は明治生まれ、武士の魂を持ち、日本の未来を発展させる信念を持ち合わせている。これらの表現はそういう時代背景や人物が使って然るべきものだと思う。逆に言えば、自分が表現したい世界観では、どういう言葉を充てるべきなのか。堅苦しい単語を使うことではなく、大切なのは世界観や登場人物への解像度の高さなのかもしれないというのが、気付きである。次に読むべきは、時代背景がWUGと重なる、アイドルあるいはエンタメ系の業界を舞台にした作品(朝井リョウの武道館みたいな)かもなあと、早速次について考えを巡らせている。

 さて本小説の話に戻ろう。

 興味深いなあと思ったのが話の構成。本作は、よくある春夏秋冬の4章構成なのだが、時系列でいうと夏→春→秋→冬になる。大河ドラマや多くの歴史小説がそうであるように時系列順に描かれるものだと思っていたので興味深かった。夏が漫画やアニメには割とありがちな所謂過去編にあたるわけで、物語全体を通して主人公國岡鐵蔵の生涯を描いている。特にこのギミックによる物語的感動はなかったので、今をもってしてもなぜこの順にしたのだろうかと思わなくもない。しかし、物語の最初に國岡商店の店主として大きな問題に立ち向かう姿を見せて、この男は一体今までどういう人生を歩んできたのだろうか、國岡商店とはどういう商売をしていたのかという好奇心を読者にもたせた上で、さて出自を描く、というのも技法として良いのかもしれない。

 本作はとどのつまり國岡鐵蔵という人間の伝記であるのだが、読んでいる最中に流石にフィクションが過ぎるだろうと検索してみると当然のようにモデルがいて、Wikipediaのみの情報から判断すると作中に起こった事件の全てが実際に起こっていたことだった。事実は小説より奇なりという奴なのか、いや小説なんだが。一民間企業がイランやソ連と国家を介さず取引していたという事実は誠に信じがたい。

 すべて物語というものは構成がA(人物)→X(イベント)→A'(人物が変化)なわけで、この作品も例に漏れず、基本構成は國岡、ないしその関連人物の前に問題が発生し、それを解決して一段成長していくという、ただそれの連続に過ぎないと言ってしまえばそうなんだが。

 それでいてこんなにも面白く感じた理由は、やはり時代にあるのだと思う。

 乱世は英雄を生むというが、まさに國岡鐵蔵の生きたのは、戦乱から復興という激動の時代。國岡に限らずその時代に生きた多くの人間が、どう生きるかを問われていた。

 晩年、國岡が「石油の時代は確かに来た。石油で人々の暮らしは目覚ましく豊かになった。しかし、それで本当によかったのだろうか。」というような言葉を自問していたのが印象に残った。

 時は途切れることなく、今この豊かで平和な日常も、あの戦乱の世と連続して存在している。にわかには信じがたい。想像がつかない。本当にそんな時代があって、そこに生きた、あるいは死んでいった人たちがいることを。逆もまた然り。当時、祖国の再興に邁進した人たちは、今の世の中を見て何を想うのだろうか。

 小説の最後は國岡の淡々とした最期だった。これもひとつの発見だった。物語の結びは必ずしも最高速度で終わるわけではない。減速し、静かに締めても良いのだ。さながら人の一生のように。

 今回は歴史小説という観点で読んでいったが、一会社員として、あるいは今を担う日本人として、多くのことに気付き考えさせられる、大変面白い文学だった。

さよならA&G

 出会いは違法アップロードから。

 RADIOアニメロミックス ラブライブ!~のぞえりRadio Garden~でアニメラジオという存在を知った大学時代。次はにこりんぱなを聴いてみたいなあと何気なくYouTubeで検索したところ出て来た出て来た違法アップロード動画の数々。当時は響なんていうインターネットラジオプラットフォームなど知る由もなく、なんの疑問も持たず第一回から遡って来る日も来る日も聞き続けていると、そのうち「久保ユリカが一人しゃべりなんて胃が痛い。」という番組が右側のおすすめ動画に出てくるようになる。にこりんぱな初期のシカちゃんの喋りのなんとも言えない不自由さにシンパシーを感じていた僕は、「おもしれータイトルだな」と視聴を始めた。時間だけは沢山あった。

 何回か聞いて、ふと気になった動画説明の「〇月×日放送回」という文言。これって文化放送でやってんの?と番組表を見てみるが、ない。

 どういうことだ?再度検索し、辿り着いた、これが超A&Gと私の出会い。

 

 テレビが嫌いだった。ラジオが好きだった。深夜ラジオが好きだった。パーソナリティが、まるで自分だけに話しかけてくれているような語り声が、待ち合わせのように集まってくる面白リスナーたちの実況が、自分が出したメールが読まれるかドキドキ待つ時間が、たまらなく好きだった。

 

 ここから早かった。家に帰ったら取り合えずA&Gをつける生活が始まった。

 そう、A&Gは生活だった。ご飯を食べる、お風呂に入る、学校に行く、学校から帰る、そういう時間にいつも寄り添ってくれる存在だった。

 どうして自分はこんなにも声優ラジオにハマったのだろうかと考えてみるけど、多分一番は聴いてて心地が良かったんだと思う。

 声が良い人たちによる、毒にも薬にもならない緩い温度感の雑談。投稿が簡単に採用されるため、パーソナリティやリスナーとの双方向コミュニケーションが密に行われるところも居心地の良さの要因だった。

 思い出を挙げていたらきりがないくらい、本当に人生の中の沢山の記憶に、A&Gの番組が結びついている。

 それでも、一番に挙げたいのは黒沢ともよFIVE STARSの企画より、文化放送の「あの」スタジオでラジオドラマを収録したこと。自分の人生で最も幸福を覚えた時間だ。

 番組内のオーディションで投稿した録音データに対してともよちゃんから「外画っぽい声、すごい素敵」と言ってもらえたこと、後日、非通知より作家の関ちゃんから収録案内の電話が来た時の喜びは、一生忘れられないと思う。

 本当に幸せな時間だった。大好きな文化放送の憧れの収録スタジオ、プロデューサーの佐藤さん、作家の関ちゃん、ディレクターのたっきっきさん、見知ったスタッフが勢ぞろいの中、ラジオパーソナリティ追体験。一瞬のように感じたあの時間を、これからもずっと死ぬまで思い出すんだろうなあ。

 多くのオタクがそうであるように、社会人になって自由時間が圧倒的に少なくなると少しずつ距離があいていった。

 それでも思い出したようにA&Gに繋げると、知らない名前に新鮮さを抱くこともあったが、懐かしい番組の多くが長く続いていて、そういった番組を聴いているとき、自分はまた学生の頃に戻れたような気がした。

 A&Gの終わりを知った時、正直驚きは全くなかった。いつ終わってもおかしくない、むしろ今までどんなビジネススキームで続いているのか、ずっと疑問に思っていたくらいだ。声優ブームも今は遠く、推し活文化で娯楽が溢れかえった令和に、時代と逆行しこれまで生き残ってくれた最後の青春に、最大限の敬意と感謝をもって、本稿を締めさせていただきます。

 これまで沢山の思い出をありがとうございました。

さようならのパレード あとがき

 

「私が一番泣いたのは、解散を決めた『あの日』です」

 

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 3次元のWUGちゃんが解散しているのに2次元のWUGが解散していないことが、ずっと引っかかっています。こうやって実際に2次元のWUGの最後を拙いながらに想像し、認めてみると、改めて、3次元のWUGちゃんの解散に向かうまでの軌跡と最後の舞台は、あまりに物語として出来過ぎていて、故に2次元に落とし込むことに何もストレスがありませんでした。

 いわゆるWUG組曲をアニメの世界で創るのはそれぞれ誰なのか?色々な議論があり盛り上がりそうなテーマだと思いますが、以前オタク早口プレゼン(詳細は2日前の記事をご参照ください)関連で「さようならのパレードを創ったのは松田」という解釈ツイートを見たその瞬間に今回書いた文章が、ほぼ全部脳内で完成しました。松田が曲を創るなら、絶対それを促すのは早坂だろ。それをやるタイミングがあるとしたらそれは曲を松田が早坂に依頼した返す刀だろ。松田は早坂さんの言葉とWUGちゃんとの想い出を反芻しながら、やがて曲を創るに至るなって感じで。それくらい、自分の中であまりに「さようならのパレードを創ったのは松田」説はハマりました。WUGちゃんに対しての「さようならはいやだよ」という言葉が、結成からずっと、どんな時でも一番近くで見守り続けてきた松田の紡いだ言葉だと思うとグッときますよね。ちなみにタイトルは松田の子守歌ならぬ「松田のパレード」とするのもあったのですが、そうするとタイトルからネタバレしちゃうなあと思ってやめました。謎めいていたい。最初は7人に曲披露の後、リハ行くぞ、がんばっぺ、Wake Up,Girls!ってオチだったのですが、この物語は7人のものではないな、ということで加筆しました。あとはせっかくだから公式要素を散りばめたいなあと思い、大好きな完全神OPであるところのTVアニメWake Up,Girls!の映像から伏線回収したり、なぜBlu-rayに収録しなかったSSA前説のシナリオを組み込んだり(こちらはひこさんのTwitterイラストを参考にしました、貴重な資料をいつもありがとうございます。)、七人のアイドルのシーンそのまま引用したりなんだり。実際に自分でWUGの二次創作をしてみようと思うと、やっぱり色々気になってしまって少しでも「本物」になりたくて、アニメや小説版を何度も見返したり、実際に仙台までの新幹線に乗って事務所まで歩いてみたり、心の中の監督や待田先生と対話してみたり。生産側に回ると消費者側より圧倒的にインプットというか、WUGについて考える時間が増えるもんなんだなあと実感しました。

 前半は小説調で書いたのですが、後半、7人が出てくるところではあえて、舞台の台本のようにセリフのみ、どのセリフを誰が言ったのか直接明示しないようにしました。どうしても7人への没頭が自分の中で至らず、キャラが記号化してしまうのが本当に耐えられなかったので、あくまで自然な会話の中で、読み手が浮かんだ顔を当ててくれたらなあと思います。

 先述しましたが、WUGの解散に向かうまでの軌跡は本当に2次元に落とし込みやすいなあと思う一方で、どうしても結論に至らず目をそらし続けている文脈があって、それは「なぜWake Up,Girls!は解散したのか?」です。そもそも彼女たちはなぜ最後のライブをしているのか?解散理由は何か?当然落とし込めない、なぜなら知らないから。今なお。

 3次元の解散理由を知ったから2次元にはい落とし込めます、とはいかないだろうし、知らない方がいいことも多いでしょうが、最後の手紙、みにゃみから意味深に投げられた石が創った水の輪が、今も自分の心の中でざわざわと波打っています。

 なんでWake Up,Girls!は解散したんでしょう。僕らが気付けないから、彼女たちの心の悲鳴が、言葉の結晶と化してしまうまでに至ったのかと思うと、胸が苦しくなります。

 

 これも繰り返しになりますが、創作は消費の何十倍も頭の中がWUGでいっぱいになりますね。それは苦しさも伴いますが、身体がWUGで満たされて本当に幸せだったので、また何か書きたいなあと思っています。WUGちゃんがこれまで歌ってきた沢山の楽曲を、WUGちゃんはほとんど歌ったことがないままでいます。僕らのフロンティア、スキノスキル、One In A Billion etc. 。これらの楽曲が歌われるに至るまで、どんな物語があったのか、考えるだけでワクワクしてきます。

 これからの人生の楽しみとして、とっておこうと思います。

さようならのパレード

 

さようならはいやだよ 慣れることなんかない 

だけど、、、

 

 

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「以上がライブの構想になります。」

松田は一息に説明を終える。

サングラスの向こう側、早坂の表情はわからない。不機嫌なようにも、物思いにふけっているようにも見える。

「ですので、彼女たちの花道を彩る新曲制作陣として、ぜひ早坂さんにも参加頂きたいと思っています。」

無言で一点を見つめていた早坂が、ゆっくりと口を開く。

「そうか、、I-1アリーナで解散ライブか。あのおイモちゃんがね。」

「はい、GREEN LEAVES一丸となって、彼女たちの門出に、最高の音楽と舞台を用意したいと思っています。」

「なるほどね、テラ本気ってわけだ。」

早坂は不敵に笑う。

「で、君は?」

「はい?」

「君は彼女たちに何も贈らないの?」

「え、俺がですか?」

「君は、この状況に何もインスピレーションされないのかい?」

「いや、でも俺は」

たじろぐ松田に、早坂は一方的に話し始める。

 

「確かに、この物語の主人公は彼女たちだ。おイモちゃんたちは自分たちの力で道を切り開き、ここまで歩んできたのかもしれない。でもね、たとえ今は大人気のアイドルグループだったとしても、最初に誰かが創ろうとしなければこの世に存在しないんだ。それに、」

 

相変わらず早坂の表情はわからない。だが、どこかいつもより優しい口調で続けた。

「どんな一流レストランの料理人でも、親御さんの作った肉じゃがの味は再現できないものなんだよ。」

「、、、」

 

「ま、新曲の件は考えとくよ。」

「あ、ありがとうございます!詳細など改めてご連絡いたします。」

頭を下げ、早坂宅を後にする。

 

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各関係者への打合せメールを送り終えると、PCから目を離し、椅子にもたれる。もうすぐ仙台だ。早坂から言われた言葉を反芻している。

車窓からは、すっかり日が沈んだ仙台の街並みが見える。

 

『松田さーん、おなかすいた~!』

振り返ると、ツアー千秋楽東京公演を終えた7人がいる。

『みにゃみ、もうすぐ着くから我慢しなさい』

『チョコあるよ、食べる?』

『わーい、ありがとう!』

『かやた~ん、私にも私にも!』

 

「間もなく仙台、仙台」

 

『今日のライブも楽しかったね、まゆしぃ』

『ワグナーさんも、すっごく楽しそうだったよね』

『飛び跳ね過ぎて足がクタクタです~』

『ほらもう着いたから、忘れ物ないか確認して』

 

PCを鞄にしまい、座席に忘れ物がないか確かめ、降車口に向かう。

 

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改札を出てエスカレーターを下る。今日は事務所まで歩こうか。中央口から外に出る。仙台駅は、今日も多くの人が行き交う。

 

ペデストリアンデッキには、新しくオープンする居酒屋のビラを配る人たちがいた。

「よろしくお願いしまーす」

 

『Wake Up, Girls!です、よろしくお願いします!』

『MACANAでデビューライブ開催します!』

全然受け取ってもらえず、溜息を付く二人。

 

差し出されたビラを受け取る。

 

『え、貰ってくれるの!?それじゃあこれ、全部持ってってください!』

『ちょっとななみ!すみません、すみません。』

『ななみん、ズルはダメだよー』

 

ビラを丁寧に畳んでポケットにしまい、階段を下りる。

 

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ふと足をとめる。

夜の勾当台公園は閑散としていた。

野外ステージの前、誰もいない椅子に腰かける。仙台の夜はまだ寒く、吐く息は白い。

 

『さむ~い』

『見て見て、息がこんなに白いよ、はー』

『菜々美寒いの?緊張?大丈夫?』

『だび、じょぶ』

『私も緊張してきた~人の字人の字』

 

『七瀬さん』

『リーダー号令!』

『え、えっと。考えてなかった、、』

『がんばっぺ、でいいんじゃない?』

 

(そうだよな、始めはこんな小さいステージだったんだよな。お客さん全然いないし、丹下社長はいなくなるしで、ホントあの頃は必死だったよ)

 

見上げると、暗い夜の空に星が輝いていた。

金なしコネなし意気地なし。丹下社長に振り回されるだけの入社当時の自分を思い出す。今は事務所も人が増え、気付けば部下を持つようにもなった。競争の激しい業界の中で頑張り続ける彼女たちを間近で見て、自分も少しずつ成長できたのかな。

(これまで沢山の景色を見せてくれたあいつらのために、俺は何ができるのかな)

彼女たちが彼女たちでいられる最後の時を、ずっと先の何億光年も7人を照らしてくれる想いを、これまでの感謝を、届けたい。

 

「『がんばっぺ!』」

 

立ち上がり、スマホを取り出す。

「もしもし、俺だけど。久しぶり。急に悪いんだけどさ、折り入って頼みたいことがあるんだ。」

 

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事務所には久しぶりにメンバー全員、丹下、松田が顔を揃える。

「みんな、集まったな。それでは、これから、Wake Up, Girls!ファイナルライブに向けた新曲が各制作メンバーから届いたので、みんなで聴こう!」

「ワクワク!」

「1曲目のタイトルは海 そしてシャッター通り。この曲はBeyond the Bottomを書いてくれたサファイア麗子さん作曲と、なんと丹下社長が直々に作詞してくださったぞ。」

「すごーい!」

「あなたたちよりほんの数十年、早くにアイドルを卒業した先輩として、アイドルじゃなくなった未来でもずっと見守り続けていてくれる、そんな故郷のような曲を贈りたくてね。」

「とても優しいメロディーですね」

「2曲目は言葉の結晶、こちらはデビュー曲からずっとお世話になっているTwinkleさんから頂きました。メッセージによると『この曲を最高にWUGらしい曲にしてみなさい』だってさ」

「うわー難しそう」

「最後の課題、ってわけね。」

「3曲目は土曜日のフライト。この曲は早坂さんが手がけてくださいました。」

「なんか、意外」

「単調というか、淡々としてるね」

「早坂さんからのメッセージは、と。『このフライトに、誰一人、取り残してはいけないよ』だってさ」

「相変わらず意味不明」

 

「あー、それで、実はなんだけど。もう1曲。俺の方からもお前らに用意してきたんだ。」

「えー!」

「サプライズですぅ!」

「やるじゃない」

「タイトルはさようならのパレードっていうんだ。」

「松田さん、私、この曲好きです。」

「ありがとう。といっても、曲の方は昔の仲間に結構助けてもらったんだけどね」

「こんなスキルがあったなら、もっと早く言いなさいよね」

「この『私の歌は あかぬけなくて重たい』って、もしかして私のパートですか?」

「喧嘩してた時間も、今となっては懐かしいね」

「WUGが結成してからこれまで、みんながアイドルとして成長していく姿に一番励まされ力を貰ってたのは、実は俺なのかもなって思って。だから、ずっと一番近くでWUGを見ていた俺にしか書けない言葉を届けたくて。」

「うー泣けてきますぅ」

「俺は裏方だから、みんなと一緒に最後のステージに立つことはできないけど、だから代わりにこの曲でみんなの背中を押してやるから」

「松田さん、ありがとうございます!」

「それじゃあ新曲も出来たし、早速レッスンに行きましょう!」

「せっかく7人揃ってるから、通しでフォーメーションの確認しましょう」

「やるぞー!」

扉を開け、事務所を出ていく7人。

松田はまだ、扉の方を見つめている。

「新曲が4曲もあるってのに、あいつら、ホント逞しくなりましたね」

「そうね」

「では社長、俺は広報関係の方と打ち合わせに行ってきます。17時には事務所に戻ると思いますのでよろしくお願いします」

書類とPCを鞄にしまい、コートを着ようとする松田を丹下がじっと見ている。

「どうしました?」

「なんでもないわ。先方によろしく伝えといてちょうだい」

「はい、ではいってまいります!」

扉を開け、出ていった背中に、丹下は小さく呟く。

「あんたも随分、逞しくなってるわよ。」

 

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満員のI-1アリーナは、ライブ開始前から既に熱気を帯びている。

「ついに来たわね、、I-1アリーナ!!」

「本当、ここまで色々ありましたね。」

背後から足音が響く。

「本当におイモちゃんには色々苦労させられたよ」

「早坂さん!」

「やあ」

「来てくれたんですか?」

「たまたま通りがかっただけだよ」

丹下の耳元でこっそり囁く。

「早坂さんって絶対WUGのこと好きですよね」

「当たり前でしょ、嫌いなわけないわよ」

 

「がんばったな」

「なにか言いましたか?」

「なんにも、ほら、もう始まるよ。」

 

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ライブはいよいよ終盤にさしかかる。一面真っ白な光に包まれた彼女たちは、神々しい。

「早坂さんは、最初からこうなることがわかって、彼女たちに関わってくれたんですか?」

何が面白いのか少しニヤリとしながら早坂は答える。

「買い被り過ぎだよ」

「ですよね」

 

クライマックスを飾る4曲の新曲が順番に披露される。

「早坂さん、この前はありがとうございました。」

「なんのことだい?」

「いや、彼女たちに曲を贈ることを後押ししてもらえて」

「僕はただ、石を投じただけだよ」

順にスポットライトに照らされ、盛大な拍手が7人に贈られる。

「良い曲だね」

「ただ思ったことを書いただけです」

 

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さようならはいやだよ 慣れることなんかない だけど、、、

 

極上の笑顔で また会いたいんだ

 

早坂相のユニゾン!

~早ママのロンリーナイト人生相談~

みんなのアニキになんか絶対になりたくないし、なぜかオネエっぽいっと言われてしまうボク早坂相こと早ママ。そんな早ママがいたって真面目にみんなの悩みに真剣に向き合っていきますよ。

 じゃメールを読んじゃうよ。

 

 ラジオネーム、otaさん。

早坂さん、こんばんは。

私の悩みは、夢中になれるものが見つからない、ということです。

私はとあるアイドルグループを6年間、デビューから解散まで応援してきました。紅白に出場したり、リリースのたびにランキングを賑わしたり、そういう全国区の有名アイドルではなかったですが、地元を盛り上げるために真摯に活動を続け、寂しさや悔しさなどネガティブな姿もファンの前で正直に見せてくれて、そしてどんな逆境でも一生懸命に立ち向かっていく、そういうグループでした。彼女たちが頑張っている姿を見て、何度も励まされました。ファンだけでなく業界関係者も含めて、本当に多くの人に愛されながら、一番の輝きを残して彼女たちは解散しました。

私はそのアイドルグループが解散して以降、どんなことにも夢中になれずにいます。相変わらず仕事をしながら、休みの日には元メンバーのソロイベントに足を運んだり、他のグループや事務所の後輩ユニットのライブに行ったりと、決して楽しいことが全くないわけではありません。

しかし、ふと思ってしまいます。

「一人でも多くの人に彼女たちを知って欲しい」とネットで発信を続けたり、友人にCDを布教したり、ライブの前日には一生懸命ファンレターを書いたり、ライブ中大声で好きなメンバーの名前を呼んだり、そうやって、一方的な思い込みかもしれないけど「彼女たちと一緒に駆け抜けてきた」過去の方が、今よりずっと輝いているんじゃないか、と。

グループ解散後、ますます活躍を続ける元メンバーや、あるいは新しい世界で生き生きと楽しそうにしているファンだった人たちを見ていると、自分だけが過去に取り残されたように感じます。

とても面倒なことを相談しているのはわかっていますが、何か抜け出すための言葉を頂きたくメールさせていただきました。

 

と、なるほどね。

生まれたばかりの赤ちゃんが、ようやく二本足で立って、転ぶことを知った、そんなところだね。

結論から言えば、夢中になれることは必ず見つかる、ということ。但しキミが本当に見つけたいと望むのならね。

キミはアイドルを応援する、その日々にどうして幸せを感じたのかな。

これを読んだ感じだと、キミはずいぶん熱心なファンだったんだね。アイドルちゃんたちの晴れ舞台のためなら、微々たる給料と貴重な自由時間の多くを捧げてきたんでしょう。知らない人からしたらどうでもいいようなことに、どうしてこんなに夢中になれたのか。

 それはね、キミが応援するアイドルたちに真剣に向き合って、全力で幸せにしていたからだよ。

世の中はねえ、与えたものがそのまま返ってくるようになっているんだ。本気には本気を、適当には適当を、誰かを幸せにする人には、同じ分だけ幸せが返ってくるようにできてるんだ。

ボクはこれまでに多くの人に愛される曲をリリースしているけど、いつだってボクはボクの音楽で世界の彩りが増し、人々が豊かになって欲しいと本気で創ってきた。

キミはもうね、「こっち側」の人間なんだよ。美味しいものを食べたい、友だちと遊びたい、誰かに幸せにして貰いたい、そうじゃない。誰かを笑顔にしたい、支えになりたい、幸せにしたい。キミは無意識に飢えているんだよ、そういう人間の根源的欲望に。その欲をもう知ってしまったから。だからキミは今、自分を喜ばせる一方通行な娯楽じゃ満たされないんだ。

 いつまでも心地よい想い出の布団にくるまっていたいのなら、そうすればいい。キミの人生だ。誰に構うこともない。でもキミは今のままでいたくないから、こうしてメールを送ったんだろ?

別に何か特別なことをしなくちゃいけないと自分を追い込む必要はない。なんでもいい、目の前の何かに本気で向き合うんだ。深く一歩を踏み出してみな。その本気は、必ず見つけてもらえる。

ボクはもうずっとこの世界にいる、そんな僕から一言言わせてもらうと、人に幸せを与える側に参加できるということはとても嬉しく、また誇らしいものなんだ。

きっと君はもう、自分が進むべき方向はわかったんじゃないかな。

そうやって、君が誰かのことを想って一生懸命に一生懸命に生きた時、キミの中にかつて応援していた彼女たちがいる、そのことに気付く瞬間が必ずくる。なぜならそれは、彼女たちがキミたちファンに最後に託した「想い」そのものだから。

だからさ、立ち上がって、こっちにおいで。待ってるから。

 

さ、このコーナーではみなさんからの真剣なお悩み募集しています。人生の深い悩みでもライトな悩みでも恋愛に関することでも何でもOK。以上早ママのロンリーナイト人生相談でした。

 

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というわけで、本記事は『Wake Up, Girls! Advent Calendar 2020』21日目の記事です。

adventar.org

何度も何度も聞き返している僕の大好きなラジオ「鈴村健一のユニゾン!」を逆輸入した早坂さんの架空ラジオ番組を認めてみました。笑って泣ける、ラジオの良さが全部詰まった1時間でした。

WUGの解散が発表された時もそのひとつですが、ユニゾン!が終了してから何度も「今、木曜ユニゾン!があったらなあ」と思うことがあり、ただその想いのまま書きましたが、齢27の若輩者には鈴村さんや、まして早坂さんの域の言葉など全く浮かばず、ただただ等身大の自問自答になってしまいましたが。

アニメ「Wake Up,Girls!」は本当に僕の尊敬する声優さんが数多く出演されていて、しかしユニットの解散にあたって、直接コメントを寄せるような機会がない人の方が多かったように思いました。大先輩からしたら長いキャリアの一役に過ぎない、その事実が、WUGもその声優さんも両方好きだからこそ、少し寂しく感じました。だからこそHOMEツアーやSSAで白木さんや大田さん、丹下社長に松田さんに早坂さんの録り下ろしの音源を聴けたとき、ああこの人たちの人生に「WUGの最後」をほんの少しでも想ってくれた時間があったんだなあと実感がもてたので、計らってくださった方々に心の底から感謝の気持ちでいっぱいです。

音源、遺してほしかったなあ。。

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こちら下書きに眠っていた『Wake Up, Girls! Advent Calendar 2020』のボツ記事を、当時ラジオが放送していた木曜25時に供養します。

あれから2年、なんとあの木曜ユニゾンが形を変えて帰ってきました!

joqr.co.jp

この記事の元ネタ「ロンリーナイト人生相談」コーナーも復活!ワグナーもそうじゃない人も、ぜひ聴いてみてください。YouTubeアーカイブも公開されていますよ。